【上の写真をクリックすると機体各部の詳細、この機体での実写例をご覧いただけます。】
■スペック
【主な仕様】
○モデル : コダック レチナ IIa (016型)
○生産国 (生産年) : 旧西ドイツ (1951-1954年)
○形式 : 35mm Folding Camera
○レンズ : Rodenstock Retina-Heligon f:2/50mm
○シャッター : SYNCHRO-COMPUR B, 1/1 – 1/500
○内蔵距離計 : 連動式
○内蔵露出計 : なし
○サイズ : 122 x 82 x 45 mm
○重量 : 600g
■解説
掲載のレチナ IIa (# 016)は、戦後間もなくの1951-54年製で、ローデンシュトック社・ヘリゴン50ミリF2レンズとシンクロ・コンパー・シャッターを装備する、レチナを代表する機種の一つです。
レチナ IIa モデルは、レバー式によるフィルム巻き上げと、シャッターのセルフ・コッキングを可能にした最初のレチナとなります。(レチナ Ia も同様の機能を持ちますが、IIaとの違いは連動距離計の有無で、IIaが上位機種となります。)
このIa/IIaモデル以前の機種では、フィルムの送りはノブ巻き上げ方式で、シャッターチャージも一回一回手動で行なわなければなりませんでした。しかし、戦後間もなく登場したこのIa/IIaになって、それらの手間が省け、使い勝手が大幅に向上しました。(レバー巻き上げのセルフコッキング・システムは、ライカM3の登場より3年も前に、このレチナIIaで実現していました。)
レチナ Ia/IIa 型は、同時に、蛇腹レチナの数あるバリエーションの中で、唯一、巻き上げレバーが軍艦部の上部に配置されたオーソドックスなモデルです。(Ia/IIa以降の Ib, IIc, IIIcの各モデルでは、巻き上げレバーはボディ底部に移ります。)
従って、レチナに接するのが初めての方にとっても、このIIa型は違和感なく使え、最も入りやすい機種と云えるのではないでしょうか。
レチナ IIa モデルに付属するレンズは、機体によって、シュナイダー社のクセノンとローデンシュトック社のヘリゴンのいずれかの50ミリF2レンズが搭載されます。
どちらも、ドイツ・大手専業メーカーの定評ある銘レンズですが、この機体にはヘリゴン50ミリF2が付属します。
クセノンに比べ絶対数が少なくレアなこのヘリゴン・レンズは、その透明感ある繊細な描写により、専門家をはじめ多くのレンズマニアから高い評価を得ています。
レチナは、一般には大衆カメラのように思われていますが、よく知られているように、レンズやシャッターは当時の最高級のものを使用し、また、ボディのつくりはドイツの精密技術の高さを凝縮した優れたカメラでした。
実際、このレチナ IIa を手にし撮影をしてみると、爆発的人気をもってアメリカ市場に迎え入れられたその訳を素直に理解することができます。