総合2位 Nikon F

質実剛健、世界に誇る『究極のメカニカル一眼レフ』

5820-00

【上の写真をクリックすると機体各部の詳細写真、拡大写真をご覧いただけます。】

■スペック

【カメラ・ボディ】
○モデル: Nikon New F  -Black Model-
○生産国 (生産年): 日本 (1973年)
○シリアル#: 7440864
○形式: 機械制御式 35mm フォーカルプレーン一眼レフ
○シャッター: 横走行シャッター
○シャッター速度: B, T, 1-1/1000
○サイズ: 147 x 98 x 56 mm
○重量: 685g

【レンズ】
○標準レンズ: NIKKOR-S Auto 50mm F1.4

【ファインダー】
○アイレベル: プリズム 後期タイプ

【付属品】
○レンズ・フード: ニコン純正 HS-1 50/1.4
○レンズ・キャップ: 純正 前・後 各1
○フィルター: 純正 L37c 52mm (ケース入り)
○ボディ・キャップ: 純正 白
○アイピース: 純正 FA/FE2/FM2/FE/FM
○接眼目当て: 純正 DK-3
○シンクロ・キャップ: 純正 黒
○三角環: 純正 保護プラ付き 2セット
○ネック・ストラップ: 純正 AN-6Y 幅広 刺繍入り

■解説

『私の選んだクラカメBEST10』第2位は、日本のカメラが世界的に認知されるそのきっかけとなった一眼レフ、ニコンFです。

何か拍子抜けですか?それとも日本の製品じゃ面白みに欠けますか?
私は、クラカメを集め始めてからは、レチナ、ライカ、コンタックス、ローライと言ったドイツ製品をメインに、外国製カメラばかり手を出していました。国産カメラにはあまり興味は湧かなかったし、それよりも、まだ写真でしか見たことのない未知の外国製クラシックカメラの方に気持ちが傾いていました。ですので、最初の2年間くらいは、国産クラカメは一台も購入したことはありませんでした。
そうこうするうち、主要で有名な外国クラカメはひと通り手にし余裕も出てきたせいでしょうか、国産クラカメも少し集めてみるかという気持ちになり、選んだのがニコンF でした。
前にも述べたように、私は仕事で初代のキャノンF1を10年ほど使ってきた経験があるので、キャノンF1の先輩であり手本となったニコンFとはどんなカメラか、比べてみたいという気持ちもありました。

その時は、私自身ある程度クラカメを見る目も養われていたと思いますし、先入観なしに客観的にカメラを評価できる力も徐々に備わってきた頃でした。最初に手にしたニコンFは、『究極のメカニカル一眼レフ』という世評が決してウソでない、これはすごいカメラだというのが第一印象でした。
プロ使用を意識した、どんな過酷な状況にも耐えうる頑強さが重視されたカメラで、何よりも驚いたのは、メンテさえしっかりすれば半永久的にいつまでも使えるのではないかと思わせるほどの、メカニカル機としてのタフさとメカの優秀さについてでした。
事実、私の手元に来たニコンFは、いずれも入手後直ちに、知り合いの修理職人Yさんにオーバーホールをお願いしたのですが、どの機体も滑らかで、新品の時はこうであっただろうなと想像させる気持ちよい機体に蘇って戻ってきました。そして、「このあと30年やそこらは大丈夫だよ」、というYさんの言葉とともに。
私はこれまでで都合14台のニコンFを入手し使用しましたが、今も手元に残っている一機は、現在でも快調そのもの、心地良く正確なシャッター音を聞かせ楽しませてくれます。

私がニコンFを好きなところは、誰にも媚びない男らしさ、まさの『男前のカメラ』というところです。
変に磨き上げて床の間に飾るような扱いでは、カメラ本来の魅力を引き出せないと思います。ボディをぶつけてアチコチ傷だらけになっても、それが様になるカメラではないのでしょうか。
そしてもう一つ、私はチョートク先生の影響からか、やたらとブラックエナメルの機体が好きで、ライカなどでは機会あるごとに黒モデルをチョイスしてきました。(クラカメBEST10第4位に選んだLeica IIも、ブラック機体好きということが大きく影響しています。)
このニコンFも、本当にブラックが似合う機体で、これが時とともにエナメルが少しずつ剥がれ地金が見えてくるようになると、うっとりするほど魅力度が増していきます。これも、私にとってはニコンFの大きな美点の一つと考えています。

さて、写真に掲載した機体の解説に移りましょう。
ニコンNewF ブラック・モデル、アイレベル・ファインダー付きです。レンズは、ニッコールSオート50ミリF1.4を組み合わせています。
機体シリアル#が744万台であり、ニコンFとしては最後期モデルにあたります。最終製造年である1973年夏につくられたうちの一台です。
このFモデルには、巻き上げレバー、セルフタイマー、シンクロ接点などが1971年発売の後継ニコンF2と同じものが使われています。従来のFモデルと区別するため、日本国内では『New F モデル』、米国などの輸出先では『Apollo モデル』と呼ばれています。
高性能であるだけでなく、そのエレガントで美しいスタイルにより、ニコンFのなかでも特に高い人気を誇るモデルです。

ファインダーは、露出機構の付かないアイレベル・プリズムファインダーを組み合わせています。最近では、フォトミック・ファインダーに比べ、シンプルで故障の心配のないこのアイレベル・タイプの方が圧倒的に人気があるようです。程度の良い品は次第に品薄となりつつあり、中古市場においては価格高騰気味、レアなアイテムになりつつあります。

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