総合6位 Leca M3

完成度の高さでは一番、でも優等生すぎて・・・

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【上の写真をクリックすると機体各部の詳細写真、拡大写真をご覧いただけます。】

■スペック

【カメラ・ボディ】
○モデル : Ernst Leitz Wetzlar Leica M3
○シリアル# : 755010
○生産国 (生産年) : 旧西ドイツ (1955年)
○形式 : 35mm RF Camera
○シャッター : 大陸式系列 B 1 2 5 10 25 50 100 250 500 1000
○フレーム : 50mm, 90mm, 135mm
○フィルム巻き上げ : シングルストローク (ライツ社にて変更)
○内蔵距離計 : 2重像合致 連動式
○内蔵露出計 : 無し
○ボディサイズ : 137 x 76 x 30 mm
○重量 : 600g (Body)

【レンズ】
○標準レンズ : Leitz Summicron 50mm F2
Mマウント シリアル# 1403756

【付属品】
○モノクロ用フィルター : シュナイダー B+W 39 060 2x MRC
○レンズ・キャップ : ライカ純正 ロゴ入り
○スプール : ライカ純正
○カメラケース : ライカ純正 ストラップ付き

■解説

クラカメを集め始めた時、まず何よりもライカM3だけは、手に入れたい、使ってみたいと思っていました。
それまでカメラのことに疎かった自分でしたが、それでもライカM3の名前くらいは知っていましたし、クラカメの王者といわれるこのカメラを知らずして、クラカメの魅力は理解できないだろうなと感じていました。

クラカメ収集を始めてから約一年ほどして、やっと念願のM3を手に入れました。
たしかに素晴らしいカメラで、まず、ファインダーの明るさや見やすさに驚きましたし、機械としての精密感、作りの良さは他のカメラを圧倒していると思いました。
嬉しくて、当時はどこに行くにもM3を携行し、まさにご愛用のカメラでした。
その後、ライカMシリーズの他のモデルも幾つか入手しましたが、それでもやはりM3が一番好きで、結局、売り買いする中で通算して19台のM3を保有することになりました。

多くの機体に実際に触れ、使った体験からも、M3は確かに優秀で素晴らしいカメラだと思います。
では、何故あなたのクラカメBEST10でトップでないの?と問われた時、そこが答えづらく微妙なところなのです。
うまく表現できないのですが、あまりに優秀な人と長く付き合うと息苦しくなるというような感覚と似ているかも知れません。別の例でいえば、真っ白なテーブルクロスと銀食器で設えた洒落たレストランで毎日毎日の普段の食事をとるような気分と言って良いかもしれません。
自分には、光るものや才能があっても、一方でどこかドジな部分があったりヌケていたりする少しスキがあるようなカメラが性に合っているるような気がします。それに、ぶっちゃけた話、猫に小判的な気もしないではないし・・・

ライカM3は、ファンも多くカメラ情報も溢れていますし、私が薀蓄をたれるような対象ではありません。なので、ここにアップした1機について、以下少し詳しく解説してみましょう。
上の写真にあるのは、M3ボディに、ズミクロン・50ミリレンズ、モノクロ撮影用フィルター、純正レンズキャップ、純正革ケースなどのM3セットです。

まずM3ボディは、シリアル#が755xxxで、1955年製造の初期ロットのうちの一台です。
M3バリエーションのなかでは、巻き上げはシングル・ストローク、視野フレーム切り換えレバーなし、ネックストラップの吊り輪は犬耳タイプ、シャッタースピード系列は大陸式という仕様です。

また、M3の中での細かな意匠の違いとしては、フィルムバックの圧力プレートはガラス製、バックドアの額縁は幅広タイプ、トップカバーのビスは正面3本・背面2本の5本タイプ、巻き戻しノブは偏心赤一点タイプ、フィルムカウンターは▽マーク等となっています。

このカメラの前オーナーは、かなりのライカ・フリークであったようです。本来はダブルストローク仕様の本機を、わざわざシングルストロークに変更するよう ライツ工場に依頼しています。また、この機体だけの装備として、裏蓋ロック用の金属丸ポッチが特注されています。

シリアル番号が70万台の初期型の機体は、特に丁寧なつくり・仕上げが施された贅を尽くしたM3として知られ、マニアにとっては一種憧れのバージョンとなっています。
掲載の機体は、写真でもご覧ただけるとおりの美しい品で、しかも操作滑らかなメカ的にも大変調子の良い機体でした。

このM3ボディに組み合わせたレンズは、定番中の定番、ズミクロン・50ミリ標準です。7枚レンズ構成の前期固定鏡胴バージョンです。
このクローム仕上げ固定鏡胴ズミクロンは、数あるライツ50ミリレンズの中でも大変手間をかけたメッキ処理が施された、最も姿形が美しいレンズとして知られています。また、レンズ性能においても、当時世界最高のレンズと評価された、ライツ社を代表する戦後の銘レンズです。

フィルターについては、ドイツ・シュナイダー社 “B+W” ブランドのモノクロ用グリーンを選んでいます。”B+W”フィルターは、さすがドイツ最大手のレンズ専業メーカーの製品だけあって、大変美しいデザインの高品質フィルターです。ズミクロンレンズの前玉の出っ張りにも対応しています。
この他、ライツ純正のレンズキャップ、革ケースを付属品としています。

以上の組み合わせは、ライカ定番によって構成され、そして、ライカの素晴らしさを体感できる、まさに『正統派M3セット』と云えると思います。

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