究極のコンパクト、Rolleiが作った楽しい旅カメラ
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■スペック
【主な仕様】
○モデル : Franke & Heidecke社 Rollei B35
○生産国 (生産年) : シンガポール (1969-78年)
○形式 : 35ミリ 距離目測カメラ
○使用フィルム : 135タイプ 35ミリ・フィルム
○フィルムフォーマット : 24X36ミリ フルサイズ
○レンズ : Triotar 40mm f/3.5 Made by Rollei
○距離表示 : m
○最短撮影距離 : 0.9m
○シャッター : Rollei – COMPUR B, 1/30 – 1/500
○内蔵距離計 : なし
○内蔵露出計 : セレン式
○サイズ : 58 × 97 × 32mm
○重量 : 270g
【付属品】
○カメラケース : Rollei 純正 ソフト革ケース
○ストラップ : Rollei 純正
■解説
ローライ35は、手のひらに乗る小さなボディに、精密なメカを組み込んだ、35ミリ・フルサイズの元祖コンパクト・カメラです。
携行時にはレンズは沈胴し、ポケットにすっぽりと収まる小型・軽量のボディはとてもキュートであり、また、人間工学的に見ても実によく考えられたグッド・デザインです。
魅力的な外観・フォルムに加え、メカ面においても当時最高級とされたパーツや技術が投入され、まさに高性能カメラといえるに相応しい機能・仕様を備えていました。
レンズはカール・ツァイスのトリオター/テッサー/ゾナー、また、シャッターはコンパー、露出計はゴッセンというように、いずれも有名ブランドの一級品が用いられています。
ローライ35シリーズには数々のバリエーションがありますが、ここで取り上げたモデルは、それらの中で一番プリミティブなモデル、B35です。
このB35は、露出計はセレン式、レンズはトリオターと、スペック的にはシリーズの下位モデルにあたるため、一般にはあまりスポットライトがあたることがないモデルかと思います。
私は、このB35を手に入れるまでは、『ローライ35シリーズの中の単なる廉価版モデル』くらいの認識しかありませんでした。
しかし、実際にB35モデルに触れ使ってみて、私の考えがいかに浅はかで偏見に満ちたものであったかを思い知らされました。
小型軽量のローライ35の中にあって、B35は一段と軽く(僅か270グラム)、ポケットに滑り込ませても全然重さを感じさせません。これで、35ミリ・ フルサイズフィルムが使え、しかも美しい写真が撮れるのが不思議なくらいです。プラスチックを多用しているための軽さですが、決してチープな感じではな く、質感は上々です。
レンズのトリオターは、その名にあるように3枚玉ですが、一昔前のトリプレットに比べ性能が飛躍的に向上しているように思います。
優れたコーティング処理 のためか、発色は大変色のりが良く、また、モノクロでも美しいトーンを見せます。決して格下のレンズではありません。個性に満ちた、素晴らしいレンズと思 います。
セレン式の露出計は、スナップには必要十分な機能であり、勘で決める露出値を改めて確認したいときは大変重宝します。バッテリーを必要としない点もメリットです。
デザインは、シンプル・イズ・ベストを地でいく、飽きがこない考え抜かれたものです。
このように、虚飾を廃した潔よさはこのカメラの性格を的確に捉えるとともに、コンセプトの確かさはカメラ自体の価値を大いに高めていると思います。
B35はローライ35シリーズの中でベスト・モデルといっても過言でないと思います。
辻斬りのようにスナップする、自分の目の延長としてカメラを使う、こんなニーズにまさにピッタリのカメラです。
こういうカメラをさりげなく忍ばせ、そして自然体で使いこなす・・・・・これこそが『粋』であり、カメラの使い手としても上級者と云えるのではないでしょうか?